パタロウのブログ

公開 : 2019/11/26 : 2021/04/09

リアショックの交換整備-正攻法ではないけど効率的な方法

なんとかボルトの固着も乗り越え、やっとの事で整備準備が整いました。
さっそくリアショックの交換作業開始だ!

ちなみに、以前ワークショップマニュアルを購入しましたが、トルクセッティング表がPDFに出来たので公開しました。詳しくはこちら。

今回の整備は正攻法では無い気がします。でも効率的

リアショックの交換作業は、本体であるフレームと、スイングアームを離しても問題ない状況を作る必要があります。
色々調べたんですが、以下のような方法があります。

  • ・フレームスタンドで車体を吊るす
  • ・ステップスタンドを使用する
  • ・バイクタワースタンドを使用する

いずれも安全性が高く、正攻法な整備かと思われます。
しかし、吊るす方法ではフレームスタンドなど大掛かりな道具と広い場所が必要ですし、タワースタンドは非常に高価…
ということで、正攻法の中で現実的なのはステップスタンドを使うやり方でした。多分、J-tripから出ているものが有名ですね?

しかし、そのステップスタンドも使用条件があって、それは固定式のステップを装備していること。
自分のは可変式の純正だったので、これを機に社外品に交換??
なんて考えましたが、いいお値段するし、なんだかな〜〜って思ってるうちに保留に…

そんな時に見つけたのが

  • ・車用ジャッキを使う

というやり方。

車用ジャッキを使用する方法なら、
小スペースで作業できて特殊工具の必要無し、調整も楽

この方法は一部のDUCATI車両に限られるやり方かもしれませんが、大体のDUCATIでこの方法が使えるという情報も。少なくともストファイ ではいけちゃいました。

しかもこの方法を使えば、
「小スペースで出来る」「他に特殊工具がいらない」「本体の上下調整が楽」と、良い事づくめ(*´∀`*)
デメリットとしては、ジャッキをかける場所が傷つく場合があるとか、角度がつきすぎると倒れてしまう、などありますが、注意すれば避けられる範疇かと考えました。
まーどの作業でも危ないことは危ないですしね…

という事です、油圧式でしたが、
車用ジャッキを持っていたのでコイツでやってみることにしました。

必要工具

  • 車用ジャッキ
  • ウエス
  • 厚さ2cmくらいの木の板など
  • 3mm六角
  • 8mm六角ショートソケット
  • 8mm六角ロングソケット
  • 14mmスパナ
  • トルクレンチ

リアショックの交換作業開始

サイレンサーとリアマッドガードを外す

まずはバイク側の下準備。
マフラーのサイレンサーとマッドガードを外します。このあたりはチャチャっと終わりますね。

サイドスタンド下に板を噛ませジャッキをクランクケースの下側にかける

また、サイドスタンドの下に、厚さ1〜2cmくらいの木の板を引くのがオススメです。これをする事で、ジャッキで持ち上げても角度が多くつかないようになり、転倒リスクを減らせるのと、ジャッキとクランクケースの当たり面との角度も抑えられるため、ジャッキが外れにくくなるというメリットがあります。

さてここから本格作業開始。
DUCATIってクランクケースの下側に、一部平らになっている箇所があります。
写真のこの部分ですね。
ここに、ジャッキをかけます。
この時、クランクケースとジャッキの間にウエスを噛ませておくと傷を防げるかなと思います。

ジャッキを少しだけ(1~2cm)あげる

ここでジャッキを少しだけあげます。
するとサイドスタンドの方にぐっと力がかかって少し斜めになります。
そのまま高さにして1~2cmくらいジャッキを伸ばします。
すると、リアタイヤは浮きませんが、
これでスイングアームより手前の本体側を、
①ジャッキと②サイドスタンドと③フロントタイヤの3点で支えるスタイルが確立されました。
このバランスが絶妙で、見た目よりもかなり安定しています。
これでスイングアームと本体をつなぐリアショック周りがフリーとなり、
例えばリンクロッドを外しても大丈夫になりました。

ただ、注意点としては、
ジャッキを上げていけば上げていくほど、クランクケースとジャッキの当たる面が斜めになり、ジャッキが外れやすくなりがちなので、注意深く見ておくのは必要かと思います。

この状態で3点のボルトを外す

本体とスイングアームがフリーになったので、
リアショック周りを固定している3点のボルトを外しておきます。

一番簡単なのが、リンクロッド下部とスイングアームのボルト。
固着して大変だったんですが、動くようになってからは楽々です。

次にロッカーアームと本体を繋ぐボルト。
このボルトはかなり長い作りになっており、逆側はナットで留まっています。
8mm六角と14mmスパナを併用して外します。

最後にちょっと厄介なのが、リアショック下部とスイングアームを繋ぐボルト。
このボルトが、かなり狭い位置にはまっており、かつ手が届きにくくなっています。

ちなみにボルトを抜くには、ステップの羽とゴム製の蓋を取る必要があります。
この辺が個人的には機能的でよく出来ているなーと。

ボルトは緩めるのは比較的簡単でしたが、その後抜こうとすると、まわりに引っかかってなかなか抜けてくれません。
力がちょうどかからない位置に調整して、さらに六角をボルト頭にある六角穴に引っ掛けて抜かないといけません。もしくはマグネットハンドを使うか。
なので、もしすんなりいかない場合は、この時点ではまだ緩めるだけで良いかと思います。

リアタイヤが浮くまでジャッキをあげる

リアショック周りを固定しているボルトを外したら、そのままジャッキを、リアタイヤが浮くまで上げます。
どんどんジャッキをあげていくと、どんどん車体も傾いてきますので、結構怖いのですが倒れはしないはず。
そのために最初に板を噛ませて角度を浅くしています。
私のように心配な方は、倒れる側を壁にしておくなどして、万が一倒れそうになっても壁で支えるようにしておくと良さそうです。(ちなみに壁に接しそうなハンドルバー周りにはウエスをまいてましたw)

なぜタイヤが浮くまであげるかというと、リアショック一式を外すためのスペースがギリギリで、限界まで上げないと取れなかったからです(^^;)
リアショック上部と本体フレームがもうギリギリなんです…

自分の場合は、限界まで上げたのにも関わらず、まだすこーしだけ引っかかっていたので、スイングアームを下に押したりなど格闘しながらなんとか抜きました。

ガラーンとしましたね。

リアショックを新しいものと交換する

SF848はリアショックにロッカーアームやリンクロッドなどが絡む複雑な形式をしているので、これら一式を外してからでないと、新しいショックに交換ができません。
よって、ジャッキアップしたままの状態でしばらくバイクを放置しないといけないのですが、この段階ではリアタイヤが浮いており、かなり安定感のない状態なので、
念のため、少しジャッキを戻してリアタイヤが着地してから少し沈むくらい下げておくのが良いと思います。

こちら外したてホヤホヤのリアショック一式です。
グリスに汚れがついてベトベトですね…

リア周りを外してからの交換作業は比較的簡単でした。
ロッカーアームとリアショック上部のネジを外して交換します。
また、自分の場合はリンクロッドも変更しました。

リアショック単体での比較。純正とTTXです。
純正のはザックス製みたいですね。これもフルアジャスタブルなので悪くない性能。見た目はオーリンズに寄せているのかかなり似ていますね。
こうやって比較してみるとスプリングの巻き数や、太さなんかが違うのがわかって楽しいです^^

ちなみに、写真のロッカーアームは左がSF848と右がSF1098Sのもの。
型番的には、1098の一部を抜いて、SBK848、SKB1198も共通のものみたいです。

こちらはリンクロッドの比較。
一番縮めた状態で、同じくらいの長さですね。これはかなり調整幅が稼げそうだ(*´∀`*)
逆に、車高を下げたいと思っている方は純正ロッド交換ではダメという事ですね(*_*)。
ちなみにどこまで延長できるかなんですが、オーナーズマニュアルによると、延長した時のネジ山の部分を7.5mm以下に納める必要があるそうです。

締め付けトルクは全て42N・m-誤差は5%に抑えること

今回も自前のトルクセッティング表を作りました。
なんといずれのボルトも42N・mと覚えるの簡単(*´∀`*)
ただ、数値には「*」印がついており、以下の注意文がありました。
「*dynamic safety-critical point; tightening torque tolerance must be Nm ±5%.」
つまり、「安全のために、締め付けトルクは42N・mにたいして±5%の範囲に納めるように。」
とのことです。
5%って、約2N・mか…シビアやな。。。

前回くらいの整備から、混乱しないようにこういった図にトルク値を書く簡易的なイラストを作るようにしました。これだと疲れていても一目瞭然。
今回は全て同じ値なのでここまでしなくても良かったかも…

トルク表にも書いてある通り、各部にはモリブデングリスを塗っておいた方が良いです。
外したリアショックにも各部にべっとりついていましたので、清掃して塗り直します。

しかし、ここで問題が…
リアショックの上下の取り付け部分が、正規トルクで締めると、動きが固すぎなんです。

動かした感じ、明らかに硬い。
一度純正のに戻して正規トルクで締めてみましたがスムーズに動きました。
いくら使用期間の差があるとはいえ、ちょっと固すぎでは…?
うーんこれは……詳しくは後ほど。。。
一方、リンクロッドとロッカーアームの取付は全く問題なさそうだったので、こちらは正規トルク42N・mで締め付けて組み付けは一旦完了です。

オーリンズリアショック一式を戻す

すっかり日が暮れてしまいました(笑)でも途中で止めるわけにはいかないので、最後まで頑張ります…
一応仮組となったリアショック一式を戻します。
外したときみたいに、リアタイアが浮くくらいにジャッキをあげた方がやりやすいと思います。
しかし外すときに比べればマシですが、
なかなかスペースがきつく結構ガチャガチャしてしまいました…

なんとか正規位置についたので、ボルトをはめていきます。
まずはリアショック下側のボルトをはめて、仮止めします。
この時、私のように緩みが心配な方はボルトの頭にマーキングしておくと良いです。
締めた後ではスペースがなくてマーカーが入れられませんので、締める前にマーキングが必要です(^^;

また、リアショック下部の締付は、ロングな六角ソケットがないとトルクレンチがかけられないのも注意です。

リアショック下側が固定されたら、あとはジャッキの高さを調整して、
ロッカーアームと本体のフレームの穴がちょうど良い位置に合わせる作業に入ります。
これはかなりしんどかった。。。
すこし曲がったりすると、ロッカーアームとフレームがいけないポイントで噛んでしまったり…かなり時間がかかりました。
なんとか調整したら、こちらも仮止めしておきます。

最後に、リンクロッドとスイングアームをボルトでつなぎます。
ロッカーアームがフレームについてしまえば、この作業は比較的簡単でした。

3点全てのボルトを仮止めできたら、正規トルクをかけて交換作業は完了です。

いやーーーーーーしんどかった…
ボルト固着にも格闘したし、結局丸2日間かかりました(爆笑)
作業だけでも4-5時間はかかってましたね(/ _ ; )
まーでも初めての作業だったし、、、次回からはかなりスムーズにいけそうです。

リアショック交換整備完了

さて!なんだかんだあったけどリアショックも交換出来たし、さっそく沈み具合をテストじゃ!!
と、軽快にバイクに跨る。

さ〜〜て、しなやかに動いてくれるかな…?

ちょっと強めにバイクを揺すってみる。

カッチカチやないかッ!!?((((;゚Д゚)))))))オイイイイイイ

検証をかなりしました

かなり骨がおれましたが、
試しに正規トルクでつけた時と、手で回せるくらいの仮止めのトルクで、跨って違いを試してみました。
結果、全然感触が違う…
つまり、本来のスプリングとアブソーバーの動きとは別に、
ショック上下の取付部がスムーズに動くかどうかでも、かなり感触が違うということがわかりました。

ほ〜ん…

ということは、やっぱりトルクが間違っている?もしくはSBK用のリアショックだし、もしかしたらロッカーアーム側の取付幅が違う???

しかし、トルクの締め付けはSBKでも同じ値だったし、SBK1198とSF848のロッカーアームの型番が一緒だったので、これらの疑いはかなり薄いぞ…

そして、自問自答のループへ…

硬くても正規トルクで締めるべき…?
オーリンズは新しい状態だと固めが普通…?
もしかして何かを間違えてる…?

いろいろ考えられるのですが、この部分に関してはもしなにか似た経験をされた方がおりましたら、
ぜひ教えていただきたいですm(__)m

結局リアショック上下のトルクは弱めにかけておいた

迷いましたが今回締め付けしたのは以下のトルク。

リアショック上部24.5N・m
リアショック下部38N・m
ロッカーアーム中央長ネジ40.8N・m
リンクロッド上部42N・m
リンクロッド下部42N・m

ショック上部、正規トルクと離れすぎかなぁ…?
やはり先述のように動きが異様に硬かったため、リアショックの上下だけは弱めにしておきました。

もしも緩むとすればリアショック上部のはず。下部も緩めですが正規に近いし。
緩んでボルトが飛んでくのだけはまずいので、マーキングをしっかりして、しばらく様子を見ることにします。
まーでも怖いし、時間ある時正規トルクで締め直そうかと迷い中…
※後日談:結局正規トルクで締め直しても良い動きしてくれました!整備マニュアルにはトルクの値を正確にとあるので、なにかに間違いが無い限り、絶対その方が良いかと思います。

うーん、かなりモヤっとした整備になってしまいました。
全然スッキリしないので、意地になってサスペンションのこと、セッティングのこと、色々と調べましたぜ…
ということで次回、サスの座学とセッティングについてお届けします_:(´ཀ`」

おまけですが、海外ではこんな交換方法も…

  • ・2人がかりで抑える(笑)

手練れの人員がいればこんな方法も??
いやさすがに怖すぎ…:(;゙゚’ω゚’):

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4 件のコメント “リアショックの交換整備-正攻法ではないけど効率的な方法”

  1. Momo より:

    私も取り付け後に渋くて困っています。
    柔らかくなった要因はなんでしょうか?
    教えて頂ければ、嬉しいです。

    • Avatar photo パタロウ より:

      私も当初は絶望しておりました…
      万が一ネジ穴壊したらスイングアームごとおシャカかな?とか_:(´ཀ`」
      結果的にバイク屋さん持っていって緩めてもらい解決しました。
      ヒートガンでネジ穴側から充分に熱を加えてから回してましたよ!詳細は以下の記事でどうぞ。
      https://patarow.net/screw-fixing/

  2. たけ坊 より:

    こんにちは。お疲れ様でした。
    純正でマルゾッキとザックスの組み合わせという
    車両は多々ありますが、ザックスはともかく
    マルゾッキは…。私、レースでツインチャンバー
    タイプのフォークを使用していますが、インナーチューブの
    仕上げも??中身も??きちんと動くまでお金かかりました…。

    • Avatar photo パタロウ より:

      マジですか!?(;゚Д゚)
      そろそろシールにヒビが出てきて、オーバーホールしたいなぁと思ってたんですが、
      どこかオススメの業者さんとか知ってますか?

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